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特集:RIの話 その4 - 2007年04月13日

RI.jpg2007年4月12日(木)付の東奥日報紙で報じられたように、鰺ヶ沢町ではきわめて珍しいんじゃないかと思われるデモ行進がありました。以下記事より引用。

低レベル処分場反対の農・漁業者らデモ行進/鯵ケ沢

 鰺ケ沢町や周辺市町の農業者、漁業者約五十人が十一日、同町が誘致を検討している低レベル放射性廃棄物(RI・研究所等廃棄物)最終処分場への反対を訴え、町中心部の国道101号をデモ行進した。

 主催したのは、鰺ケ沢町建石町の農業木村由則さんが代表を務める「農業、漁業守る会」。四月上旬に結成したばかりで、この日が反対運動の第一歩となった。

 鯵ケ沢駅前を出発した参加者は「放射性廃棄物誘致反対」と書いた横断幕を手に「子や孫を放射能から守ろう」「農業を守ろう」などと訴えながら、大和田地区までの約四キロを歩いた。

あ~え~。
オレん家は国道101号線沿いではないので、まったく気づきませんでした(^^;)
シュプレヒコールとかあげてたのかな?? でもなー宵宮の権現様の太鼓とかも聞こえないもんね、このへん…。

ちなみに記事へのリンクはこちら。時間経過により削除される可能性がありますが、いちおう。

と、いうことで…。



この特集では、第1回目ではRIとはそもそもどんなことなのかを調べ、第2回目では、なぜRIという言葉と低レベル放射性廃棄物が同じ物を指す言葉として使われる経緯に至ったを憶測し、第3回目ではこの問題を捉えるときの人間の行動心理を考えてきました。

そして今日のテーマは「放射能・放射性物質・放射線」です。これがなぜ、どのように危険なのかそれとも危険でないのか。賛成するにしても反対するにしてもキチンと押さえておく必要がある気がします。逆にここをないがしろにして何か言っても、それは第3回目で述べたようにヒューリスティクスやバイアスに影響された見解かもしれず、なんら説得力がないと思えるのです。

放射能とはなにか
「放射能漏れ事故」や「放射能汚染」あるいは、特に我々世代(ん?)においては「放射能除去装置コスモクリーナD」などの言葉に代表されるように、放射能とはあたかもなにかそのような物質があるかの印象を受けますが、実際のところ、これらは誤用です。放射能という言葉は、正しくは「放射線を出す能力」という概念的意味あいの言葉であって、実体はありません。実体ではないので、漏れることも汚染することも除去することもできません。漏れたり汚染したり除去したりの対象になるのは放射性物質のことなのです。

放射性物質とはなにか
放射能を持つ物質です。すでに述べたように放射能とは放射線を出す能力のことですので、その線で言い換えるならば、放射線を出す能力を持つ物質が放射性物質です。これには大きく二つの種類があります。
ひとつは、もともと(ん~例えるならば先天的に?)放射性を持つ物質。特集第1回で出てきた放射性同位元素などがこれです。
もうひとつは、もともとそうでないのに(ん~例えるならば後天的に?)放射性を持つようになった物質。これは、元来無害な物質が放射線にさらされることによって同様の能力が発現するもので、原子力関連作業に使用した着衣や手袋、あるいはそのような施設の解体時に出るコンクリートなどの産業廃棄物(無論、部位によりますが)などが考えられるでしょう。このように後天的に放射能を持つに至る現象を「放射化」と呼ぶそうです。

放射線とはなにか
放射性物質から飛び出してくるエネルギー粒子や電磁波の総称です。アルファ線やガンマ線などいろいろな種類があります。レントゲン撮影で使うX線も放射線の一種です。

放射線を浴びるとは
放射線を浴びる、いわゆる被曝するとどのような事が起こるのでしょうか。先に述べたとおり、放射線にはいろいろな種類がありますので、どの放射線をどのように浴びたかによって、結果は異なります。もっとも深刻で、且つありえるストーリーは、DNAの損傷です。人体組織は新陳代謝によって常に新しい細胞に生まれ変わっていますが、細胞が間違った複製を行わないようにその手順が記されているのがDNAです。DNAが損傷すると、細胞が正しく生まれ変わることができず、結果として人体は時間経過とともに崩壊していきます。
例えば、皮膚。もしも皮膚が新陳代謝を行えなくなったら、どうなるでしょう。表皮がなくなり真皮になり…いずれ血管や筋肉がむき出しになるでしょう。それ以前に表皮を失った神経は、ものすごく過敏に反応し全身を耐えがたい激痛が襲うでしょう。これが、1999年の茨城県東海村の臨界事故による被爆者の方に起きた事実です。ただ、同時にこの状況はいわばむき出しになった原子炉ともいえる特別な状況下の最悪のケースだということも押さえておかなければなりません。この時はほとんど遮蔽物のないところで臨界が起こり、中性子線をもろに浴びたと言われています。
では最悪でないケースを考えるとなにがあるでしょう。レントゲン撮影はどうでしょう。レントゲン撮影を命がけでやってると考える人は皆無だと思いますが、実際はこれもX線を被曝していることになります。でも、なんともないのはご存知のとおりです。(ここ打ち消し線になった理由はコメント欄参照^^;)CTスキャンも同様です。
また、世界的には食品の殺菌や保存のためにX線やガンマ線の照射を認められている場合が、思ったよりも多くあります。日本においてもジャガイモに対してこの措置は許されています。
このように考えると、放射線を浴びるということは、なにをどのように浴びるのかで、天と地ほどの差が見られます。中性子線は深刻な影響がでますが、アルファ線は紙一枚で遮蔽できるほど弱く、無害です。ですから、放射線を浴びる、つまり被曝ということを考えるとき、(より具体的に言うならば)放射線の種類、浴びた時間、放射性物質との距離、その間の遮蔽物(材質、厚さ)の四点を考慮する必要があります。

今回のまとめ
批判するわけではありません、客観的な意見として…ですが。
冒頭の記事にあるデモ行進のスローガンにあるように「放射能から子や孫を守ろう」が「放射線から子や孫を守ろう」という意味であるならば、そのスローガンを打ち出す前に、どのような放射線をどのように浴びることを想定しているのか、を考えなければならないと思います。そのためには、実際に搬入される放射性廃棄物(から放射される放射線の種類)や廃棄場所、保管方法の適切な評価が必要です。これらの情報が開示され吟味することができて初めてそのスローガンにあるような結論に至れると思うのです。そこを抜きで安全だの危険だのと言っても無意味ですし、そこにこそ説明責任を求めるべきポイントの一つがあるのではないかと思うのですが、どうでしょう。
ただ、風評被害などはもちろんまた、別の問題です。これは別途考察する必要があるでしょう。

え~この特集も次回あたりが最終回の予感…。

オマケ:
人体被曝とその治療に関する情報交換をしているこの記事が興味深かったです。

投稿者 吟 : 2007年04月13日 00:00


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コメント

レントゲン撮影、これは世界中で日本人ほど頻繁に実施する民族はいないそうですよ。(出典、英国ネイチャーだったと思う)

なんでこんなに毎年毎年、検査でレントゲンを浴びるのか?
微量といえども定期的に浴びるほうが、余程危険ではないのか、というのが、ネイチャーに載ったそうです。
人間ドッグとやらでいろいろ調べるのも…、ねぇ
(医療に金をつぎ込む国民性を皮肉ったものとも受け取れるが)

医学的見地に立ってもまっるっきり無害とは言えないそうです。
レントゲン撮影。
そう言えば慶応医学部の有名な先生も(名前わすれ)ガン検診は無意味のような事を公言してましたね。
長い上に的はずれですみません。

投稿者 くりげ : 2007年04月14日 01:43

くりげさん、
そっか~そういえばそうかもだよねエックス線。
電磁波とかだって、その影響とか確定的でないところあるしね。

でも、なんともないのはご存知のとおりです。

は、ちょっと断定的過ぎですね。訂正しよっと…。

投稿者 吟 : 2007年04月15日 17:37

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